環境社会学・環境倫理研究者 福永真弓(東京大学大学院・新領域創成科学研究科・准教授)

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活動報告

共編著2冊を出版します。

2018.04.15書籍・論文

『未来の環境倫理学』(吉永明弘さんとの共編著、勁草書房)では、リスク社会、環境正義、人新世をキーワードに3章執筆しました。つながっている文脈を意識して書いています。リスク社会については、「わたくしごと」化していく現代的リスク(自分が決定できないにもかかわらず、受容せざるをえないという性格をもつ)について特に着眼して書いています。また、環境正義については、これまでまとまった概念の履歴整理がなかったこともあり、興味のある方に広く読んで頂けるよう心がけて書いています。同時に、たとえばある迷惑施設の誘致に関して,承認という正義、リスク生産と認知に関する正義、参加・手続き的正義、分配的正義、補償的正義、地域・環境再生に関する正義など、段階的あるいは重層的に必要となる要素に着目して論じています。人新世時代の環境倫理学では、現在どのように環境とわたしたちの関係性の把握が行われているかを念頭に、環境概念を再度解きほぐし、現代的課題とは何かを見いだしました。

 

他の章についても、特に日本の震災以降の海外の反応も含めた環境倫理学の動向、環境徳倫理学、世代間倫理、ハンス・ヨナスの自然哲学、主題としては気候工学と気候変動、核廃棄物などが入った読み応えのある内容になっています。

 

ちなみに表紙は、このウェブサイトのイラストを描いてくださったいぬいさえこさんにお願いし、すてきなインパクトのある表紙となりました。ウェブサイトのトップにあるイラストがそれです。

 

『やま・かわ・うみの知をつなぐ:東北における在来知と環境教育の現在』(羽生淳子さん、佐々木剛さんとの共編著、東海大学出版会)では、在来知ネットワークについて、それから絵地図作成から開発履歴の「上書き」について考える2編を書いています。こちらはまだ少しみなさんのお手元に届くのにあと一月ほど時間がかかるとおもいますので、後ほどまた内容についてご案内します。

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