環境社会学・環境倫理研究者 福永真弓(東京大学大学院・新領域創成科学研究科・准教授)
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次の章を担当しました。「におうー腐臭の境界」「かきまぜるーにごりの海の透明度」「おわりに(他編者との共著)」
次の章を担当しています。Mayumi Fukunaga. “How urban fishers listen to nori seaweed to learn to better live with the sea: The importance of ecological reflexivity for environmental governance.”
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環境問題における価値と合意形成について、人びとの参加や意思決定に関する正当性/正統性がどのように社会的に承認されるか、どのように社会規範が生成しうるか、それらのメカニズムについて事例研究をもとに明らかにしてきました。そして、①どのような人びとの声が聞かれている/きたか(手続き・参加的正義に基づく人と人のあいだの規範),②人間社会とは異なる自律的な復元力を持つ存在として自然の声が聞かれている/きたか(復元力の保持と持続性に着目した自然に対する規範)を、具体的な地域の社会史・環境史と共に記述して実践的な環境倫理のフレームを描き出してきました(『多声性の環境倫理』)。米国での事例研究はひと段落つきましたが、「多声性」そのものに関する研究は、むしろこれからの課題です。
持続可能な社会における社会正義の実現とは何か、リスクと被害の全体性の記述に関する方法論の開発と、環境に対する/環境に関する社会正義の具体的な実現の形について、特にジェンダーとマイノリティ両者のまなざしから研究を行っています。公害から環境の時代への移行は、被害とそれに対する社会的正義の実現とは何かという重要な問題をそぎ落としてしまう傾向があります。一方、気候変動への適応やリスク社会への対処において、社会正義の実現をどのように行うかは世界的かつ喫緊の課題でもあります。特に、リスクと被害の全体性の社会学的な記述の手法の探求と、「よりそうこと」からはじまる環境正義理論の構築を目指しています。
地域社会の資源利用に関する順応的ガバナンスの理論および実践研究を、人々の行為・言説・記憶に残された資源と空間利用の履歴に関する「聞き書き」に着目しながら行っています。①これらの手法が新たに収集を可能にする資料の内容とその重要性、②聞き書きそれ自体が順応的ガバナンスにおいて果たす社会的機能、同時に聞き書きという場がもつ可能性、③聞き書きという行為及び環境ガバナンスという社会的介入とそれに関する倫理について主に研究を展開しています。